[コラム]サーモウッドについて

サーモウッドは腐る?腐らない?耐久性と長持ちさせる設計ポイントを解説

この記事の要点

サーモウッドは高温熱処理によって耐朽性と寸法安定性を高めた木材で、未処理木材より腐りにくい特徴があります。ただし通気不足や水溜まりなど不適切な設計・施工では腐朽するため、通気構法や雨仕舞いが重要です。


結論:サーモウッドは腐りにくいが、腐らない木材ではない

「サーモウッドは腐りますか?」

結論から言うと、サーモウッドは熱処理によって耐朽性が向上しており、未処理木材より腐りにくい木材です。

ただし、

  • 水が滞留する
  • 通気が確保されていない
  • 雨仕舞いが不十分
  • 施工不良がある

場合には腐朽する可能性があります。

そのためサーモウッドの性能を十分に発揮するには、通気構法や適切な雨仕舞いを前提とした設計・施工が重要です。


目次

  1. サーモウッドとは?
  2. なぜ木材は腐るのか
  3. サーモウッドが腐りにくい理由
  4. サーモウッドと他素材の比較
  5. サーモウッドでも腐るケース
  6. 設計時の注意点
  7. 施工現場でよくある失敗例
  8. 紀州材サーモウッドの特徴
  9. FAQ
  10. まとめ

サーモウッドとは?

サーモウッドとは、

木材を180〜220℃程度の高温で熱処理した木材

のことです。

薬剤を使用せず、

  • 耐朽性向上
  • 寸法安定性向上
  • 含水率低下
  • 軽量化

を実現しています。

近年では、

  • 木質外装材
  • 外壁
  • 軒天
  • 格子
  • フェンス
  • ルーバー
  • デッキ

などの用途で採用が増えています。


なぜ木材は腐るのか

木材が腐る原因は、

木材腐朽菌が繁殖することです。

腐朽菌が活動するためには、

腐朽菌が好む条件

  • 水分
  • 酸素
  • 温度
  • 栄養分

が必要です。

特に重要なのが水分です。

木材含水率が高い状態が長期間続くと、腐朽菌が活発になります。

つまり、

木材が腐る最大の原因は「水分管理の失敗」です。


サーモウッドが腐りにくい理由

サーモウッドが腐りにくい理由を示した比較図
熱処理による耐朽性向上の仕組みを解説

木材内部の栄養分が減少する

高温熱処理によって、

腐朽菌の栄養源となるヘミセルロースが減少します。

そのため、

腐朽菌が繁殖しにくくなります。


含水率が低くなる

サーモ処理後の木材は吸湿性が低下します。

結果として、

  • 雨を吸いにくい
  • 乾燥しやすい
  • 水分滞留しにくい

という特徴を持ちます。


寸法安定性が高い

未処理木材は、

  • 反り
  • ねじれ
  • 収縮

が発生しやすくなります。

一方サーモウッドは、

寸法変化が少ないため、

雨水の侵入原因となる隙間や変形を抑制できます。


サーモウッドと他素材の比較

サーモウッドと人工木と未処理木材の比較表
耐久性・環境性能・維持管理の違い
項目サーモウッド未処理木材人工木
耐朽性高い低い腐らない
寸法安定性高い低い高い
天然木の質感
表面温度低い低い高い
環境性能
経年変化美しい劣化しやすい退色あり
補修性高い高い低い
炭素固定×

天然木が環境面で優れている理由

近年、

建築分野では脱炭素化が重要視されています。

天然木は成長過程でCO₂を吸収し、

建築物として利用される間も炭素を固定し続けます。

つまり、

木質外装材は単なる仕上材ではなく、

炭素貯蔵材としての役割も持っています。

特に国産材を活用することで、

  • 森林整備促進
  • 地域経済循環
  • 輸送エネルギー削減

にもつながります。


サーモウッドでも腐るケース

ケース① 水が溜まる納まり

もっとも多い原因です。

例えば、

  • デッキの水平面
  • 笠木天端
  • エンドカット部

などです。

水が長期間滞留すると、

サーモウッドでも劣化が進みます。


ケース② 通気層がない

外壁では通気構法が重要です。

通気層がないと、

壁内結露や湿気が滞留します。


ケース③ 地面と接触する

常時湿潤状態になるため、

耐久性が低下します。


ケース④ 切断面の保護不足

木口は吸水しやすい部分です。

施工時には木口処理を推奨します。


設計時の注意点

サーモウッド外壁通気構法断面図
木質外装材の耐久性を高める通気構法

外壁

推奨構成

  • サーモウッド
  • 通気層18〜30mm
  • 透湿防水シート
  • 構造用面材
  • 断熱材

とする通気構法が基本です。


軒天

軒天は比較的耐久性を確保しやすい部位です。

ただし、

換気口周辺の結露には注意が必要です。


ルーバー

ルーバーは水切れが重要です。

水平部材よりも縦ルーバーの方が耐久性に優れます。


フェンス

地際部分の納まりが耐久性を左右します。

基礎や金物で浮かせる設計が推奨されます。


デッキ

最も厳しい環境です。

  • 水勾配確保
  • 通気確保
  • 地面から離隔

が重要になります。


施工現場でよくある失敗例

失敗例①

ビス位置が不適切

割れ発生


失敗例②

通気胴縁不足

壁内結露


失敗例③

木口無処理

吸水促進


失敗例④

水返し設計不足

局部腐朽


紀州材サーモウッドという選択肢

和歌山県産の紀州材を熱処理した

「紀州材サーモウッド」は、

外壁・軒天・ルーバー・格子・フェンスなどの外装用途向けに開発された木質外装材です。

特徴は、

  • 国産材
  • 薬剤不使用
  • 高い寸法安定性
  • 優れた耐朽性
  • 美しい経年変化

です。

公共施設や商業施設、住宅まで幅広く採用されています。


FAQ

サーモウッドは絶対に腐りませんか?

いいえ。

腐りにくい木材ですが、常時湿潤環境では腐朽する可能性があります。


サーモウッドの耐久年数は?

設計・施工条件によりますが、

外装用途では20年以上の使用実績が多数あります。


メンテナンスは必要ですか?

基本的に再塗装は必須ではありません。

ただし意匠維持目的で保護塗装を行う場合があります。


色は変わりますか?

はい。

濃褐色から徐々にシルバーグレーへ変化します。

これは天然木特有の自然な経年変化です。


人工木とどちらがおすすめですか?

天然木の質感や環境性能を重視する場合はサーモウッドが適しています。

メンテナンス頻度を最優先する場合は人工木も選択肢になります。


まとめ

サーモウッドが腐る原因と対策
設計・施工で避けるべきポイント

サーモウッドは腐りにくい木材ですが、

「腐らない木材」ではありません。

耐久性を最大限発揮するためには、

  • 通気
  • 排水
  • 雨仕舞い
  • 木口処理

といった基本設計が重要です。

特に外壁・軒天・ルーバー・フェンス・デッキなどの木質外装材では、

材料選定だけでなく納まり設計が寿命を左右します。

適切な設計・施工を行うことで、

サーモウッドは長期間にわたり美しい外観と天然木の魅力を維持できます。


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